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古典にきく  巻の二  古事記 万葉集






古事記 万葉集にみる庶民の生活




荒田

庶民は,裸足だったと何かで読みましたが,本当でしょうか。


中村


正確な知識はありませんが,裸足だったことも多いと思われます。それは,以下の歌でうかがうことができます。


信濃道は 今の墾道(はりみち) 刈りばねに 足踏ましなむ 沓はけわが背 
(万葉集 巻14岩波版#3399)


荒田


夜は,何処に寝てたのでしょうか。今でいうホームレスのようなスタイルしかなかったのではないでしょうか。


中村


山上憶良の貧窮問答歌を見ると,一般人(とくに地方の)は竪穴式の住居だったようです。地面に藁を敷き,竈に火の気はなく,蒸し器(甑)にはクモが巣をつくっている。寒い夜,ボロを引きかぶり,足先には妻子,頭には父母,そんななか鞭を手にした村長が大声をはりあげ(納税の催促とか,公共工事への人員提供の要請とか) ・・・・・ ということが記されています。


もう少しましなレベルの人は,やはりぼろをかぶり,酒粕をお湯に溶かして暖をとり,つまみは塩を固めたものをちびちびなめるということが詠まれています。憶良自身は筑前の知事なので,これよりはましな生活だったんじゃないでしょうか。


荒田


とくにご婦人方の場合は,トイレはどうなっていたのでしょうか。


中村


川にすることも多かったようです。


香塗れる 塔になよりそ 川隅の 糞鮒食める(はめる) いたき女奴(めやっこ)
(万葉集 巻16岩波版#3828)

というのがあり,(講談社文庫)の 注 には川がトイレだった旨記されています。


魚は汚いものに集まる習性があります。これが糞鮒です。


余談ですが,私がプランクトンの研究でアメリカに留学していた1996年ごろ,マサチューセッツ州のバザーズ湾では,トイレも含めた町の下水が一気に湾中央に放出されていました。そして,放出口近くでプランクトン調査を行う際は,海水を汲みあげる際にゴム手袋を着用しました。ですが,排出口近くには,ロブスターポッド(たこつぼみたいなもの)が多く仕掛けられていました。鮒と同様,ロブスターも臭い物が好きなようです。



古事記ではトイレ関係で二つ思い出すことがあります。


1) 三輪山の神(大物主神)がある美人に惚れる。そこで神は,彼女がトイレで大の用を足しているときに,赤い矢になって忍び込み,局所を一突きする。びっくりした女は部屋に戻って矢を抜くと,矢はたちまち美男子に変じ,二人は結婚。できた娘も美人で,神武天皇の皇后となり,現在の皇室に繋がっているわけです。


2) 倭建命は東征のヒーローで,美しい話はよく知られていますが(やまとは くにの まほろば・・とか),東征直前には,西に出向いて熊襲たちを退治しています。ただし,ここでは女装して色仕掛けで熊襲の親分をやっつけたり,相手の刀を竹光にすり替えた後,剣で勝負をいどんで相手を殺したりの「卑怯大全開」です。また,タケルの兄が父の天皇のところにあまり顔を見せないので,天皇がタケルに「兄さんも顔を見せるように伝えてくれ」といったところ,タケルはトイレで用足し中の兄貴を襲い,手足をもいで殺したという話があります。


「美しい国 誇りのある国」 について神話も教科書に乗せたいなら,こういう話も付け加えないとね。




つづく

by yojiarata | 2014-11-20 21:46
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