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日本語 ☜ ☞ 英語  巻の二



ご隠居さん 「巻の一」の続きですね。

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そうです。だけど,前半は,あまり愉快でないことから始めたいと思います。「巻の一」に書いたことを念頭に置いて読んでください。あまり愉快でないと言っても,私には悪気は全くないのです。どうかご理解ください。

昨日,テレビのニュースで聞いたんだけど,君は「ロングライフ食品」と称するものを知っている。聞いていると,「賞味期限」を長く伸ばした保存食品のことらしいんだよ。最近は,何でも彼でも,英語の単語をメチャメチャに並べて,変な日本語を作るよね。日本語をもっと大事にしてほしいね。

2月25日の夕刊1面に,大きな字で

ジョブズの卵 渋谷集合

と見出しがあります。

渋谷はビットバレーとよばれているんだそうだよ。シリコンバレーをまねて渋(bitter = ビター)と谷(valley=バレー)から作った造語だと書いてあるよ。こんな根性では,いつまでたっても,シリコンバレーを追い越せないよ。




日本人大リーガーへの期待



私が,どうにも理解できないのは,松井選手が,ワールド・シリーズで最高殊勲選手に選ばれたとき,イチロー選手が,年間最多安打数で,シスラー選手の記録を100年ぶりに更新した時など,「晴れの舞台」で表彰された時など,いつも,通訳を通じて,日本語で話すんだ。

誰も,松井選手やイチロー選手に,流暢な英語など,期待していませんよ。現に,南米から来た選手など,メチャメチャな英語ですよ。それでも通じるんだ。彼らは,俺は英語をしゃべっているんだ,どこか悪いか!という顔付きですよ。

最初はメチャメチャ英語でも,ジョークが通じ,面白い奴だと思ってもらえれば,松井選手だって,イチロー選手だって,もっともっと人気が出たと思いますよ。何年も,アメリカにいるんだから。

その点,トロントにいる川崎選手は,すごいよ。残念ながら,いまは,2軍暮らしのようだけど。

私の記憶では,長谷川選手だけだね。英語をしゃべっていたのは。彼氏の英語は,メチャメチャ英語どころか,流暢なところがまたすごかったね。

今後は,若い選手がどうなるかだね。ダルビッシュ選手は,相当努力しているようだから,これからが楽しみです。

ヤンキースに新加入する田中選手は,アメリカに行く前から,僕は英語ができませんと,記者団の前でケッロとしているんだからね。聞くところによると,膨大な額の通訳料が契約書に書いてあるそうだけど。問題は,そういうことじゃなくて,アイツは英語は今の所メチャメチャだけど,フレンドリーで面白い,ジョークの通じる奴だ。すぐ仲間になれるよ,と評判になれば,これでOK。それから,黙っていても,英語が通じるようになるよ。そうでなければ,成績は絶対に残せません。

それともう一つ。ダルビッシュが入団した年だったと記憶しているんだけど,ガンガン打ち込まれて,敗戦投手になったんだ。その時,ダルビッシュはベンチに帰って,ワシントン監督に何と言ったと思う。

I AM SORRY.

アメリカで生きていくには,寅さんじゃないけど,それ言っちゃお終いよ。黙っているか,もしどうしても何か言いたければ,

I WILL TRY TO DO A BETTER JOB NEXT TIME.

くらいじゃないでしょうか。

これからの,日本人大リーガーに大きく羽ばたいてほしい。70年以上にわたって野球とともあった野球少年・不肖荒田洋治の切なる思いです。気に触ったら,どうかお許しください。


日本語 ☜ ☞ 英語


「巻の一」で書いたことを念頭に,日本語と英語の間を行ったり来たりしながら,以下の3例を読んでください。


首を振る


あたま

【貴間(アテマ)ノ轉カ,或云天玉ノ意カト】
(一)カシライタダキ 頭蓋骨 (ヅガイコツ)。(二)後ニ,スベテ頸ヨリ以上ノ稱。カシラ,コウベ。頭。

「言海」(大槻文彦,明治三十八年十二月十五日 第百五拾版,吉川弘文館)


動物の,脳(や目・口・鼻・耳)がある部分。神経中枢がある部分。また,それをおおっている,顔の上の部分。

首から上の部分。かしら。こうべ。

「広辞苑第 6 版」(岩波書店,CD-ROM 版))」


英語で,頭を振るといった場合,首を支点として,頭を横に振ることを言います。

Shake the head.

とは,頭を横(左右)に振る所作で,これは,

No.

と同じです。英語で,肯定の応答をする場合には,

nod.

を使います。この場合には,首を縦に振ります。

すなわち,英語では,首を横に振ったら否定,縦に振ったら肯定と決まっているのです。

しかし,日本語の場合には,頭の振り方と,その意味するところは英語のように明瞭ではありません。

なお,この部分を書くにあたっては,NHKラジオ第2 『英語で読む村上春樹 世界の中の日本文学 第14回』 (2月16日(日)22:50-23:20) を参考にさせていただきました。

ちょっと脇道に逸れますが,私は,この番組の極めて熱心な聴き手の一人です。日本語を英語に翻訳するにあたっては,数々の壁に遭遇します。この番組では,案内役の沼野充義先生,相方のアメリカ生まれの Matthew Chozickさんのコンビの間で交わされる実に興味深いやりとりに惹きつけられます。沼野先生の発想,着眼点にいつも大いに触発されて,楽しく英語を勉強しています。

「日本語 ☜ ☞ 英語」 に興味のある方には,この番組を絶品としてお勧めします。残念ながら,沼野先生は今月で降板されるそうなので,その後のことが心配です。



手を振る

日本語では,船旅に出る人を送る場合などには,大きく手を振ると言いますが,これをそのまま英語にすると 
wave your hand.

となり,変です。

腕,上肢 肩から手首までを含むarm を使って,

wave one’s arm.

ではないでしょうか。



おしりを振る

つぎは,おしりの場合です。尾籠な話ではありませんので御安心ください。まず,辞書をひいてみると,

しり

尻【身の後(シリ)ノ義ナラム】
(一)背ノ下ノ,肉ノ出デテ,座スレバ席ニツク所
「言海」(大槻文彦,明治三十八年十二月十五日 第百五拾版,吉川弘文館)


腰の後下部で、肉の豊かに出た所。肛門のあるあたり。臀部(でんぶ)
「広辞苑第 6 版」(岩波書店,CD-ROM 版)」


こし

腰【越ノ義ニテ,胴ト脚トノ界ヲイフカ】
(一)腹背ノ下,臀ノ上ノ邊ノ名
「言海」

人体の脊柱の下部で,骨盤の上部の屈折し得る部分。
「広辞苑第6版」


これだけの定義を念頭に置くと,次のように結論できます。

1) 日本語で,ヒップといっているのは,バトック (buttock)を2個を合わせた物体です。

2) バトック は,左右に一つずつありますから,亭主をおしりに敷くのは,普通は二つのバトック( buttocks)を使います。もちろん,原理的には,変な格好になるけれど,どちらか一方の buttock でも目的を達成することはできます。

「言海」の「しり」の説明

(一)背ノ下ノ,肉ノ出デテ,座スレバ席ニツク所

は,言い得て妙です。さすが大槻文彦,バトック をものを見事に表現しています。

3) 腰に両手をあててみてください。固い部分が手に触るはずです。これがヒップです。やはり,二つあります。その下にある「ポッチャリ膨らんだ巨大な物体」が バトック(2個あります)です。お相撲さんは,ヒップに載せるようにして,まわしを巻くのです。

繰り返しますが,日本語で ヒップとよんでいるのは,英語では全く別の部位,すなわち,バトックを指します。

うしろから見た人体の問題部分の成り立ちをイラスト化しました。ヘンテコ リンなものですが,参考にしていただきたいと思います。

日本語 ☜ ☞ 英語  巻の二_a0181566_2014261.jpg

Microsoft PowerPoint 2010 を用いて,荒田洋治・作画



4) マリリン・モンローさんが,おしりを振って歩く場合には,ヒップ を”支点”として,バトック を左右に振ることになります。この場合には,二つあるバトックを,位相を揃えて振るんでしょうね。それにしても,『ナイアガラ』 (20世紀フォックス,1953年公開)で 見せたモンローさんの後ろ姿は物凄い迫力がありましたね。

モンローさんが歩いて行く後ろ姿を映したシーン・「モンロー・ウォーク」 は映画史上,最も長い歩行シーンだそうです。


モンローさんの動きを,表現したければ,

Swing the buttocks.

となるんじゃないでしょうか。


そのうち,また書きたいと思います。





ひとまずお終い

by yojiarata | 2014-03-01 21:10
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