ご隠居さん また爆発ですか。 総理大臣の暴走に,凄味が出てきたからね。目が据わってきたよ。私の長年の友人も同じような感想をもっていて,彼の人が国会などで発言しているときは,音を消して,目を見ているんだそうだ。君は何も気が付かないかい。 たそがれ迫る 庭の隅 『濹東綺譚』 (永井荷風 ) の中の文章の断片をふと思い出したんだ。” たそがれ迫る” という言葉の雰囲気が,何となく,現状の気持ちの悪さを代弁しているような気がしてね。今日の話と 『濹東綺譚』は,とくに関係はないんだけど。 つい先日,このブログに書いたばかりだけど,この一週間の新聞新聞を読むと,黙っていられないよ。 私がとくに重要と考える部分を,青色にしました。 政府素案,「紛争国へ禁止」削除 テロ支援国は認めず 2014年2月23日(一面) 安倍内閣は武器輸出三原則に代わる新たな武器輸出管理原則の素案を与党に示した。これまでは原則,武器輸出を禁止してきた方針を撤廃。三原則のうち「共産圏」と「国際紛争の当事国」への輸出を認めない項目を削除する。そのうえで,「新三原則」を設け,テロ支援国や国際条約の違反国に輸出しない仕組みを作る。ただ公明党には慎重論が根強く,与党内の調整が難航する可能性もある。 武器輸出三原則は1967年に策定され,三木内閣が76年,原則輸出禁止を決めた。ただ,個別に官房長官談話を出し,「例外」を認めてきた。今回の素案はこの輸出禁止の方針を撤廃し,新原則に反しないものは輸出できるようにする内容。安倍内閣は与党内で合意を得た上で,閣議決定する意向だ。実現すれば戦後の安全保障政策を大きく変えるものとなる。 従来の三原則のうち, 「国際紛争の当事国」の項目を削除したのは,安倍内閣が昨年3月に三原則の例外として認めた次期主力戦闘機F35の部品のイスラエルへの輸出を念頭に置いたものだ。「共産圏」は冷戦時代に設けられた条項で,役割を終えたと判断した。 そのうえで素案では,新原則を (1) 国際的な平和及び安全の維持を妨げることが明らかな場合は輸出しない (2)輸出を認める場合の限定と厳しい審査 (3)目的外使用や第三国移転について,適正な管理が確保される場合に限定 ― とした。 新原則の一つ目の柱となる「輸出しない対象国」には,従来の三原則にある「国連決議による武器禁輸国」を含む。対人地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約などの国際条約に違反する国も盛り込む。 二つ目の柱で「輸出を認める場合」として想定するのは,これまで例外として認めてきたミサイルや戦闘機などの国際共同開発や,自衛隊が国連平和維持活動(PKO)で使用した重機などの提供だ。昨年に国連南スーダン派遣団(UNMISS)を通じて韓国軍へ銃弾を提供したような事例も想定し,国連など国際機関への輸出も認める。また,海外の米軍基地所属の航空機などの補修業務を日本企業が請け負うことも可能にする。 そのうえで,個別の輸出が「我が国の安全保障に資する」かどうかを,貿易を管理する経済産業省で審査し,国家安全保障会議(NSC)の9大臣会合で決める仕組みを設け,テロ支援国などへの輸出を防ぐ。 三つ目の柱として,輸出した武器が目的外使用されたり,別の第三国に移転されたりしないために,原則として相手国から事前に同意を得る。 ただ,武器輸出を原則禁止した従来の方針を撤廃すれば,輸出に歯止めがかからなくなる恐れがある。これまで例外を設けるたびに個別の輸出内容を公表していたが,新制度ではどう公表されるかも不透明だ。 安保法制懇,報告書明記へ 2014年2月22日 (一面) 安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の北岡伸一座長代理は21日,日本記者クラブで記者会見し,集団的自衛権行使の条件として「密接な関係にある国が攻撃される」「放置すれば日本の安全に大きな影響がある」など,5条件を懇談会の報告書に盛り込む考えを示した。 安保法制懇は集団的自衛権の行使容認に向け,憲法解釈の変更を求める報告書を4月にも首相に提出する。これを受けて,首相は与党と新たな憲法解釈の政府見解について協議する考えで,5条件は政府見解をまとめる基本線になる。ほかの条件は,攻撃を受けた国から日本の支援を求める明らかな要請がある▽首相が総合的に判断し,国会の承認を受ける ― とした。これらの条件を満たすことが行使には必要としている。そのうえで,攻撃された国以外の国の領土や領海を通る場合には,その国の許可を得ることも条件とした。 北岡氏は会見で,5条件の具体例として,朝鮮半島有事に対応する米軍の支援を挙げ,「朝鮮半島沿岸の米艦が攻撃を受けて(自衛隊が)助けに行くとき韓国の領海を通るかもしれない。その時は同意を得ることとしたい」と述べた。 また「放置すれば日本の安全に大きな影響がある場合」の具体例として,ペルシャ湾から日本に至る海上輸送交通路の防衛を念頭に「日本に来る石油が途絶する場合」を例示した。さらに日本周辺有事以外でも,米艦船の防護など,行使しなければ日米同盟に悪影響が出る場合などは行使できる,との考えを示した。 2014年2月22日 (4面 総合) 昨年末の安倍晋三首相の靖国参拝以降,首相の側近から「問題発言」が相次いでいる。首相自身が起用した人物だけに,首相の本音と見る向きもあり,海外の視線も厳しく,政権のリスクになりつつある。やはり身内のさまざまな問題が続き,政権の体力を低下させた第1次政権の二の舞いになりかねず,首相官邸は火消しに躍起だ。 首相側近の発言で問題となったのは,首相の靖国神社参拝や中国,歴史認識に関するものだ。 首相の経済ブレーンの本田悦朗内閣官房参与は米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)のインタビューに応じたが,その記事が波紋を広げた。 19日のナショナリスト本田悦朗氏がアベノミクスで目指す目標」と題する記事では「(本田氏が)日本が力強い経済を必要としているのは,賃金上昇と生活向上のほかに,より強力な軍隊を持って中国に対峙(たいじ)できるようにするためだと語った」と掲載。同紙は,本田氏が神風特攻隊についても「日本の平和と繁栄は彼らの犠牲の上にある。だから安倍首相は靖国へ行かなければならなかったのだ」と語った,と伝えた。 本田氏は20日に「真意ではない」と同紙に抗議。「修正する用意があると言われた」と菅義偉官房長官に報告した。ところが,同紙を発行するダウ・ジョーンズ社は同夜,「記事の内容は正確だと確信している。修正をする用意があると申し出た事実もない」と否定。本田氏は21日,「今,具体的にどうしようということは考えていない」と発言をトーンダウンさせた。 本田氏は20日に「(靖国は)日本人にとっては特別なところ。それをよく理解してください,と言ったつもり。まさか記事になるとは思っていなかった」と記者団に語った。 首相の靖国参拝に対しては中国,韓国のみならず欧米でも批判がくすぶっており,首相を代弁して参拝の「真意」を説明しようとしたことが騒動につながっている。 19日には,首相の盟友の衛藤晟一首相補佐官が首相の靖国参拝に対し「失望」を表明した米国の対応を「我々の方が失望」と批判した動画を公開したことが発覚。 菅長官が首相と対応を協議し,衛藤氏に 「首相補佐官の立場でそんな発言をしてはダメだ」と叱責(しっせき)して削除させた。 政権で危機管理を担う菅官房長官は引き締めに躍起だ。21日午前の閣僚懇談会では「全員で緊張感を持って対応するように」と閣僚に注意を喚起した。官邸スタッフの一人は「首相の靖国神社参拝をきっかけに問題発言が続いている」と分析。「国益を害する結果になっている」と嘆く。 首相は2006~07年の第1次政権で側近を多く集め,「お友達内閣」と呼ばれた。閣僚の不祥事も相次ぎ,07年夏の参院選大敗,退陣の一因となった。この反省から,首相は12年末の第2次政権発足時には,党役員・閣僚に総裁選の対立候補や,国会答弁の安定している人物を起用し政権基盤の強化を心がけた。 だが,今回は首相自身が関係の近さから起用したサポート役やブレーンの発言が発端。それだけに,こうした発言は首相の本音を反映しているのではないか,と国内外の不信感を増幅させている。 ・・・・・ 政府・与党内でも不満が噴き出しつつある。自民党重鎮は「支援団体の会合で『自民党に勝たせすぎた』と言われた。傲慢(ごうまん)であってはならない」。政権幹部も「こちらが気をつけているのに何だ」と吐き捨てた。 憲法解釈変更「閣議決定で」 2014年2月21日 (1面 総合) 安倍晋三首相が20日の衆院予算委員会で,集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更について,従来の政府見解を大きく踏み越えた答弁を繰り返した。憲法を変えずに,政府が積み上げてきた解釈を変える「解釈改憲」を既成事実にする狙いと見られるが,首相の私的諮問機関の結論や与党内の議論を待たず,解釈改憲を閣議決定で行う考えや,自衛隊法改正にまで言及するほどの前のめりぶりだ。 (2面 総合) 安倍首相は20日の衆院予算委員会で「閣議決定して案が決まったら(国会で)議論頂く。それに沿って自衛隊が活動する根拠法がないから,自衛隊法を改正しなければならない」と答弁。集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定した上で,自衛隊法を改正する方針を表明した。 現状は,首相が私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)に,集団的自衛権の行使容認を解釈変更でできるかどうかの検討を求めている段階だ。 安保法制懇は4月にも報告書を出す見通し。首相はこれを受け,政府内や自民,公明両党と調整し,憲法解釈の変更が許されるかどうかや具体的な変更内容を検討する見通し。こうした手続きを経て,仮に解釈変更できると最終的に判断したら,その先に閣議決定や自衛隊法改正が議論になる。 首相の答弁は,こうした手続きを飛び越えているうえに,どのような行使ができるかの内容まで,20日の答弁で先取りした。 首相は自衛隊法改正の内容について「今の自衛隊法は,集団的自衛権の行使はできないという中で,できている」と指摘。さらに集団的自衛権に加え,武器使用基準の緩和により (1)自衛隊と離れた外国部隊が攻撃された時,自衛隊が駆けつけて武器を使って守る「駆けつけ警護」 (2)海外での緊急事態で武器を使って邦人を救出 ― まで盛り込む方針を表明した。いずれもこれまでの政府の憲法解釈では,憲法が禁じる海外での武力行使に抵触する恐れがあるとしてきたものだ。首相は駆けつけ警護や邦人救出に加え,「今までの解釈のままでいいのか」と述べ,集団的自衛権の行使となる米グアムに飛んでいくミサイルの迎撃を例示した。 首相は憲法解釈変更に絡み,12日に 「最高責任者は私だ」と発言。民主党の岡田克也氏は20日の予算委で「1人で解釈変更ができると考えるか」と追及した。首相は「『たった1人で決めて良い』とは,言ったことはない。今までの積み上げもあって,国民の理解も大切だ」と釈明。一方で,「内閣において最終的な責任を私が負っている。行政府の責任者は私だ」とも 繰り返した。 (時時刻刻)安倍首相,危うい独走 集団的自衛権答弁,与党も懸念 2014年2月21日(2面 総合) 「最高責任者は私」「閣議決定で決める」 ― 。安倍晋三首相が集団的自衛権の行使容認をめぐり,前のめりな答弁を連発した。行使に慎重な公明党の危機感はとりわけ強く,解釈改憲が許されるのかの議論も深まらないままだ。海外の政府・メディアは,こうした首相の姿勢に批判の目を向ける。 「求心力があるうちにやらないといけない,という思いがあるのだろう。何が何でもやりたい,ということなのだろうが ・・・・・ 」 自民党幹部は20日,首相の答弁に顔を曇らせた。内閣支持率が好調なうちに,悲願の集団的自衛権の行使容認を実らせたいと,首相が結論を急ぎすぎているのではないかと見る。 とりわけ,公明党の受け止めは複雑だ。 「平和」を党是に掲げ,集団的自衛権の行使容認には慎重な立場。「今国会で結論を出すことは簡単ではない」(山口那津男代表)と行使容認に歯止めをかけようと必死だ。首相の私的諮問機関の報告書が4月にも出された後に,与党間協議で「現行解釈の範囲内で対応可能だ」と主張し,少しでも首相を押し返そうとの計算もあった。 だが,首相は20日の衆院予算委員会で,公明党との議論を待たずに,解釈変更を政府内の手続きである「閣議決定」で行うと,先にレールを敷いてしまった。党幹部は「閣議決定をしたところで,関連法案が国会を通らなければ何もできない。それを首相はわかっているのか」と憤る。 集団的自衛権行使を可能にするために憲法解釈を変更することへの懸念は,国会にも広がる。 20日の衆院憲法審査会幹事懇談会で,「(憲法解釈の)最高責任者は私」との首相答弁について,野党幹事から「見逃せない答弁だ」と問題視する意見が相次いだ。政府の閣議決定で行使容認を決められるようになれば,政権が変わるたびにころころと方針が変わりかねない,との問題意識が背景にある。自民党重鎮の保利耕輔会長も「憲法解釈と改正は表裏一体の問題だ」と同調した。 国会内では20日,行使容認に反対する民主,結い,共産,生活,社民5党と無所属の衆参15人が呼び掛け人となった勉強会が開かれた。市民を含む約150人が参加。歴代政権の憲法解釈を担当した内閣法制局の阪田雅裕・元長官が講演し,「なぜ憲法だけを解釈(変更)でやってもいいということになるんだろうか。もしそんなことが許されるなら,立法府なんて要らない。政府が勝手に時代に合うように法律を解釈する理由をつければいいということになるのだから」と首相の手法を批判した。 そのうえでこう呼びかけた。「国の形が大きく変わることだ。憲法改正が必要か必要でないかという立場を超えて,共闘していかなければならない」 英紙「米は後悔」 米紙「解釈改憲を批判」 2014年2月21日(2面 総合) 安倍政権が強気の姿勢を崩さないなか,世界各国では日本の外交安保政策を不安視する声が強まっている。米軍が海外展開の規模を縮小しつつあるなか,日本の軍国主義復活を懸念する声すら上がり始めた。首相周辺やNHK経営委員の発言も含め,安倍政権への懸念は,日本の防衛協力に期待を寄せていた米国にも広がっている。 英紙フィナンシャル・タイムズは,20日付紙面に「米国,自ら望んだはずの安倍晋三に後悔」と題するコラムを掲載した。「米国からの何十年にもわたる催促の末に,安倍氏は防衛力の増強や『安保ただ乗り』体制からの脱却に意欲を示しているが,今や米国は不安を抱き始めている」と分析。同紙は,安倍政権の政策のいくつかは米国自身が要求してきたものだとしつつ,「米政府内で多くが不快と感じるような,歴史修正主義に基づくナショナリズムという対価を伴っている」と指摘した。 ケリー米国務長官が日本を「予測不能で危険」とみなしている,とする元ホワイトハウス高官の話も引用。米国の影響力が弱まるなか「米国は中国との衝突を避けるためなら,日本の利益を犠牲にする」(豪安保専門家)との見方を紹介した。 米紙ニューヨーク・タイムズは19日の電子版の社説で,「安倍首相は正式な手続きではなく,彼自身の再解釈により,憲法の重要な部分を変えようとすることに,危険なほど近づいている」との懸念を示した。 安倍首相は「他の国家主義者と同じように,憲法が定める平和主義を拒絶している」と指摘し,「(個人的)解釈による改憲は法の支配に背く」と批判。日本の最高裁判所は「安倍首相の解釈を拒絶しなければならない」と訴えた。 1期目のオバマ米政権でホワイトハウス国家安全保障会議アジア上級部長を務めたジェフリー・ベーダー・ブルッキングス研究所上級研究員は,「オバマ政権は集団的自衛権を含めた安倍政権の安全保障上の政策課題を支持してきた。これは靖国神社参拝後も変わらない」と指摘。一方で,「安倍首相の参拝は,政権が取り組む重要な安保政策の目標をひどく傷つけることになった」と分析した。 米国務省のハーフ副報道官は19日の電話会見で,安倍首相の参拝に「失望した」との声明を出したオバマ政権の対応を批判した衛藤晟一首相補佐官の発言に言及した。「我々は参拝への立場は非常に明確にしており,それが我々の反応になるだろう」と指摘。衛藤氏の発言は取り合わないが,米政府の見解は変わらないと強調した。 仏ルモンド紙も7日付で掲載したコラムで,中国指導者が愛国主義的な発言を繰り返す一方,安倍首相や側近も挑発的な言動を重ねており,軍国主義時代の歴史を書き改めていると主張。戦前への回帰に警戒感を示した。 ドイツでも,日本と中国の対立激化への懸念は深まっている。週刊紙ツァイトの元編集主幹で日本にも詳しいテオ・ゾンマー氏は同紙電子版(11日付)の「火遊びをする中国と日本」との記事で,「中国でも日本でもナショナリズムの波が高まり,非妥協的な態度がもてはやされている」とした。 一方,安倍政権批判を続けてきた中韓両国は反発の度合いを強めている。中国外務省の華春瑩副報道局長は19日の定例会見で,衛藤氏の発言について「一部の間違った言動や危険性に断固として対抗するべきだ」と強調した。20日付の韓国各紙も衛藤氏の発言を,「妄言」(東亜日報),「波紋」(中央日報)などと報じた。 同じことを何度も書くのは止して,2月15日に書いた 「より美しい 誇りのある国」 をもう一度読んでほしいと希望します。 蛇足 『濹東綺譚』(新潮文庫) は,次の文章で終わっています。 濹東綺譚はここに筆を擱おくべきであろう。 ・・・・・ 草稿の裏には猶数行の余白がある。筆の行くまま、詩だか散文だか訳のわからぬものを書(しる)して此夜の愁(うれい)を慰めよう。
by yojiarata
| 2014-02-27 17:41
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