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大槻文彦 [巻の二]  犬 と 猫



ご隠居さん 前回の続きを聞かせてください。

***



「言海」を読んでみて,すぐに気付くのは,生き物についての記述が非常に多いことだよ。そのどれもが,個性的で面白く,読んでいて全く飽きません。ただ,手元にある「言海」は,活字が小さく,虫眼鏡の助けでやっと読めるんだ。私は,歳にしては,眼が良いほうなんだけど,昔の人は,眼が飛び切り良かったんじゃないかな。それとも,読める人だけが読んだのかな。

ここでは,犬と猫を取り上げるよ。

*


「言海」 の 犬 と 猫



いぬ(名) 犬 狗

(一) 家ニ畜ウ獣ノ名,人ノ善ク知ル所ナリ,最モ人ニ馴レ易ク,怜悧ニシテ愛情アリ,走ル コ ト速ク,猟ニ用ヰ,夜ヲ守ラスナド,用少カラズ,種類多ク,近年,舶来ノ種アリテ,愈,一ナラズ,

(二) 草木ノ類ノ似テ正ナラザルモノノ称,「-櫻」-稗」

(三) 徒(イタヅラ)ナルコト益(ヤク)ナキコト,「-死」,-カハユガリ」



ねこ(名) 猫

(ねこま下略,寐高麗ノ義ナドニテ,韓国渡来ノモノカ,上略シテ,コマトモイイシガ,如シ,或云,寐子ノ義,まハ助語ナリト,或ハ如虎ノ音轉ナドイフハ,アラジ)

古ク,ネコマ,人家ニ畜フ小キ獣,人ノ知ル所ナリ,温柔ニシテ,馴レ易ク,又能ク鼠ヲ捕フレバ畜フ,然レドモ竊盗ノ性アリ,

形,虎ニ似テ,二尺ニ足ラズ,性,睡リヲ好ミ,寒を畏ル,毛色,白,黒,黄,駁等種種ナリ,

其晴(そのひとみ),朝ハ円ク,次第ニ縮ミテ,正午ハ針ノ如ク,午後復()タ次第ニヒロガリテ,暁ハ再ビ玉ノ如シ,陰處ニテハ常ニ圓シ。


猫を愛する人々 からの 猛攻撃



ちょっと,付け加えたいことがあるんだ。” 然レドモ竊盗ノ性アリ ” の箇所が大問題になり,その後出版された「大言海」では,削除されています。

だけど,広辞苑(第六版) には,今でも,

【泥棒猫】の項目があるよ。そこには,


【他人の家に こっそり入り込んで 食物を盗み食いする猫。また,比喩的に,隠れて悪事をする者。】


と明記されているよ。次の版 では,削除されるのかな。


*


広辞苑による 記述


ちなみに,岩波広辞苑(第六版)では,次のように説明されているよ。よく読んでみると,大槻文彦の影響,無しとしないね。


いぬ 【犬・狗】

ネコ目(食肉類)イヌ科の哺乳類。

よく人になれ,嗅覚と聴覚が発達し,狩猟用・番用・軍用・警察用・労役用・愛玩用として広く飼養される家畜。

品種も日本在来の日本犬(秋田犬・柴犬など)のほか多数あり,大きさ・毛色・形もさまざまである。

万葉集7 「垣越ゆる― 呼びこして鳥狩(とがり)する君青山のしげき山辺に馬休め君」。

「―を飼う」


ねこ 【猫】

(鳴き声に接尾語 コ を添えた語。またネは 鼠の意とも)

広くはネコ 目(食肉類)ネコ科の哺乳類のうち小形のものの総称。

体はしなやかで、鞘に引きこむことのできる爪,ざらざらした舌,鋭い感覚のひげ,足うらの肉球などが特徴。

一般には家畜のネコをいう。

エジプト時代から鼠害対策としてリビアネコ ( ヨーロッパヤマネコ )を飼育,家畜化したとされ,当時 神聖視された。現在では愛玩用。

在来種の和ネコ は,奈良時代 に 中国から 渡来したとされる。

古称,ねこま。

枕草子9 「― を 御ふところに入れさせ給ひて」



ひとまず休憩 また書きます

by yojiarata | 2013-12-14 22:20
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