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馬 に 嚙まれた 少年



ご隠居さん ヘンテコ リンな 題だね。このところ,色々あって怒ってばかりだから,おかしくなったんじゃないの。

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そうじゃないんだ。その逆で,たまには,不愉快な総理大臣や幹事長とは無縁のことを書こうかなと思っているだけだよ。


荷馬車 の 記憶



今年もまた年末になって,来年のことがいろいろ気になる時期になってきたでしょう。来年は,午(うま)年か,とボンヤリ考えているうちに,ふと70年前のあの事件のことを思い出したんだ。事件といっても,新聞に載るような事件じゃなく,私にとっての個人的な出来事だけどね。


私が子供の頃の昭和十年代には,荷物を運ぶために,馬車が使われていたんだよ。

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滝田ゆう 『寺島町奇譚(全)』 (ちくば文庫,第六刷,1995,「えんがみみとんがった」,14-15ページ)


遊郭 の お姉さんたちの 記憶


私は,同年代の滝田ゆう(1931年(昭和6年)12月26日 - 1990年(平成2年) 8月25日)の作品は,どんな角度から見ても,大変よく解り,身につまされることばかりです。生まれた年も近いし,情緒的には,” 同期の桜 ” という感じだね。

舞台は,今やこの世に存在しない「玉ノ井遊郭」(現在の東向島)。遊郭内を走り回るキヨシの姿に自分が重なるんだよ。

昔はどんな小さな町にも,必ず遊郭がありました。私が生まれ育った岡山市にも,川(旭川)を渡ったところが島のようになっていて,そこに遊郭があったんだよ。

寺島町奇譚に登場するキヨシは,小学校前の少年だけど,私がキヨシと同じ環境にあったのは,小学校の後半から,中学に入る頃だったよ。だけど,キヨシは「玉ノ井遊郭」のど真ん中に生まれ,育ったんだけど,私は,川向うの遊郭から少し離れた荒田一郎・医院の息子だから事情は違うといえば違うんだ。

私の父親は,泌尿器科の看板を掲げている町医者だったんだけど,実際には,患者さんは,遊郭のお姉さんたちと,進駐軍の兵隊さん (アメリカ,イギリス,オーストラリア など) でした。

寺島町奇譚に登場するお姉さんも,心の優しい人が多かったんだけど,同じことが私の場合にも言えたんだ。まだ子供の私をつかまえては,世間話をよくしてくれたもんだったよ。楽しかったね。お姉さんたちは,それぞれ,不幸な身の上なんだけど。


虫の居所が 悪かった馬の 記憶


話が,遊郭に逸れてしまったけど,元に戻って,私の事件のことをお話しします。

事件と大げさに言ったことが起きたのは,私が,幼稚園に入る前だったように記憶しています。ことの経緯を時間的にまとめると,

1) 半ズボンとランニング・シャツ姿だったから,季節は夏前後。

2) 近くの旭川に降りる石段の前に,馬車がおいてありました。馬がこちらを向いていました。

3) おぼろげな記憶では,少年は,馬の横を駆け抜けて,石段を降りようとしました。

4) その瞬間,少年は,自分の頭が,馬の口の中にあるのに気が付きました。

5) 逃げようとしましたが,時,すでに遅く,顔が血だらけになりました。

6) それから後のことは記憶にありません。

7) 父親が,応急手当をしたんじゃないでしょうか。

8) 後でわかったんだけど,馬の歯が,左目を直撃,すんでのところで,目玉をかすめ,目玉の横に突き刺さりました。

9) 今でも,よく見ると,70年も前の傷跡が,左目の横に残っています。


以上が,事件の一部始終です。

いま耳に残っているのは,馬が私を嚙み付いたときの,ただならぬ ” がおーーー ” というような妖しい唸り声だけです。

馬に石を投げたり,棒で殴ったりする子がいましたので,偶々虫の居所が悪かった彼氏が私のことを,” 待ってました ” とばかり,嚙みついたんだろうね。


全国 の お父様方,お母様方 への お願い


どんな 動物であれ,もとは野生だったんです。最近は,動物園などに行くと,子供と動物が触れ合う行事が行われるようになりましたが,どんなに優しそうな動物でも,野生だったころの血が流れています。

全国のお父様,お母様。どうかこの点をお忘れにならないよう,お子様と一緒に動物園を楽しまれるようお願いします。


ともあれ,独眼流・荒田洋治にならなかったことは,お天道様に感謝しています。




おしまい

by yojiarata | 2013-12-03 23:16
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