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リニア中央新幹線 夢と現実  その2



今回から,だんさんではなく,友人の勧めで,隠居を名乗ることにしたよ。毎日が日曜日であることには変わりはないんだけど。

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大変結構じゃないですか。ご隠居さん,それで,今日の話題は何なの。

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先日,私が書いた「リニア中央新幹線 夢と現実」について,友人からコメントが送られてきたんだ。届いたコメントは,大変正鵠を得ているので,「リニアモーター新幹線 夢と現実」に関する理解をさらに深めるため,ここでまとめておきたいと思います。


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東北新幹線「はやぶさ」の実績


何か大きなプロジェクトをぶち上げるということでしょうが,それならば既存の,新幹線技術で良いではないではないでしょうか? 東北新幹線「はやぶさ」は,時速320Kmを達成して,リニアの時速500Kmに迫る性能です。それに,何より安全に対して,実績があります。

スピードに対する要請は,まるで麻薬のようです。これ以上のスピードが必要なら,航空機のほうが安全だと思います。国産の小型ジェット機開発計画もあるので,こちらの産業育成も大いに結構だと思います。ただ,空港だと,土地の値上がりが局所的だから,一儲けしたい人々には,” 歓迎されない ” のが難点でしょう。


そんなに急いでどうするの?


「そんなに急いでどうするの?」という根源的な問いかけには,これまでに全く議論されていません。私は,新幹線で過ごす2-3時間で,本を読んだり,メールを書いたり,あるいは,録音したラジオを聴いたりで,のんびりできる時間を楽しみます。弁当を食べたり,うたた寝もします。

それが,大阪まで1時間以内となると,早すぎます。もっとも,たとえ計画が実行されても実現まで,私が生きているかどうか保証は無いし,できたとしても下記の理由で乗りません。


技術的な問題点


大げさかも知れませんが,近代戦を支える,エネルギー=石油が圧倒的に不利な状態で突入した太平洋戦争と同じです。現代版,戦艦大和です。

1) ヘリウム液化機に使用する電力まで考慮すると,現在の新幹線の3倍の電力が必要とされると言われています。福島の原発問題は,世界一高い電力料金を,これから更に押し上げると予想されます。空輸とのコスト比較はどうなのでしょうか?

2) ヘリウムの供給が,今後カタールなど複数になる可能性がありますが,外国に100%依存することには変わりがありません。

3) 石油,LNGも,ほぼ100%,海外に依存とはいえ,選択肢があります。一方,ヘリウムは,アメリカの他は,現実的な場所が1,2か所しか存在しません。加えて,ヘリウムの性質上,備蓄にコストが掛かり過ぎるるのです。

4) 計画されている,線路の約70%がトンネルです。山梨県知事が使われた,”下水の土管” という表現は,的を得ています。景色も鉄道を利用する際の楽しみの一つです。ここにも,時間短縮だけの価値観しか存在しません。例えば,トンネルの多い,山陽新幹線は景色を楽しめず,つまらないじゃありませんか。

5) 制動技術が確立されていないのも気になります。東日本大震災や,中越地震で実証された,新幹線の緊急停止装置はリニアでも実現できるのでしょうか?浮上させるという原理上,停止させるには,航空母艦の着艦装置のような構造か,パラシュート,逆噴射固体ロケットなど,およそ,実用旅客鉄道とは,かけ離れたものになるはずです。乗客は,遊園地のジェットコースターのように,拘束椅子に縛り付けられるかも知れません。新宿ー名古屋間の30分程度?の間,トイレにも行けなくなりそうです。いっそ,戦闘機パイロットのようにオムツをして乗りますか?これで,公共交通機関といえるのでしょうか?


ヘリウムに関するアメリカの近況


アメリカのヘリウムを管理する 総元締であるBLMによるヘリウム供給ですが,19日に上院で継続させる法案が通りました。下院でも10月7日前には,法案が通るだろうというのが,大方の希望的観測です。


ただ,この法案が通過しても,数年後にどうなるかは,未知数です。リニア新幹線の工事が始まる頃には,ヘリウム価格が暴騰しているでしょうね。

それでも,1000兆円の国の借金に比べると,安い投資と言えるのでしょうか。


ひとまずおわり


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追記

友人から,新しい興味ある情報が送られてきたので付け加えておきます。

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今朝,リニアのことを,もう少し調べてみました。

行ったことはありませんが,名古屋に リニア鉄道館 なるものがあります。

ここには,既に,955形式という実験車両で,1996年に時速443Kmを実現させていることが出ています。こちらの存在は知りませんでした。日本の鉄道技術は,少なくともハードはすごいと思います。

その隣に,リニアの時速 581Km が紹介されています。マスコミも,リニアばかり取り上げるので,リニア方式だけが高速を実現する方法みたいな印象を与えています。単なる速度記録だけでは番組にしにくいのでしょうが,超伝導うんぬんとなると,如何にもハイテクに聞こえます。

この138Km/時のスピード差と,コスト,安全性を考慮すれば,よほどの理由がない限り,リニアは採用しないでしょう。最終的な判断は誰がしたのか分りませんが,不可思議なダイナミックスで日本の将来計画が決められたことになります。これは,日本国民にとって,大変不幸なことです。

夏休みに,子供たちに将来の夢として紹介するには,良いかも知れません。プラネタリウムで宇宙の不思議を体験させるのと同じことです。現実の宇宙は,スパイ衛星や軍事衛星の戦場です。NASAのジェット推進研究所の初代所長は,V1,V2ロケットを開発したフォンブラウンという男です。戦後,彼は,ロケット技術の提供をすることで,身柄の安全を確保されています。表向きは宇宙開発ですが,要はICBMの開発です。
by yojiarata | 2013-09-25 20:14
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