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花の色は うつりゆく



ご隠居さん,ヘンテコリンな題だけど,何か突拍子もないことを書くつもり。

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そんなつもりは全くありません。私はつねにまじめだからね。

この間,古い荷物を整理していたら,赤ん坊の写真がコロッとでてきたんだ。よく見ているうちに,それが自分だと気が付いて,愕然としたんだ。だってそうでしょう。赤ん坊と超後期高齢者だからね。当たり前だけど,80年近い歳月の長さを実感したわけですよ。それに当然のことながら,人の生と死のことを考えるよね。

テレビのアナウンサーにしても,若い女性がワンワン出てくるよね。美人で,足が長く,颯爽としているでしょ。彼女たちも,やはり,30年,40年と時間が経過すれば,同じ経験をするはずですよ。すなわち,いずれは,足のすらっと長い高齢者の婦人がどっと増えてくることになるよ。その時になって騒いでみても遅いんだ。歳月の流れは,誰にも,公平にあるわけだから。

私もそうだったけど,若い頃は老人になるなんてことは,考えてもみないんだけどね。

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このブログを書こうと考えた切っ掛け一つは,沢木耕太郎の存在です。私は,ノン・フィクション 『テロルの決算』 (文春文庫,1982)以来の彼の大ファンです。仕事の範囲も広いよ。

横道に逸れるけれど,沢木耕太郎のことを少しだけ書きたいんだけれど,いいかい。

スペイン内戦のさなかにロバート・キャパ(1913-54)が公開した一枚の写真が,世界的に大きな話題になった。銃弾によって身体を撃ち抜かれた兵士の「死の瞬間」を捉えたとされるこの写真「崩れ落ちる兵士」によって,キャパの名前は世界中に轟いたんだよ。

君も,この写真,見たことあるでしょ。

この一枚の写真に疑問をもった沢木が徹底的に調べ上げた推理ドキュメント 「運命の一枚 ~ ” 戦場 ” 写真最大の謎に挑む~」が,今年2月3日にNHKで放映されました。時間をかけて制作された素晴らしい番組だったよ。


最近,二人の女性,ベラ・チャスラフスカ と ジャンヌ・モローの写真を見たり,近況を知ったのも,このブログを書く切っ掛けになったんだ。

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まず,ベラ・チャスラフスカ (1942-)

1964年の東京オリンピックで,” 蝶のように舞う ” 彼女(当時22歳)の体操を見たんだ。君は,見てないだろうね。残念だね!見る人の心を ” 蜂のように刺す ” 素晴らしくも優雅な演技は,忘れようもないよ。

ソ連(旧)との確執など,散々苦労をしたようだけど,現在は,チェコのスポーツ界の重鎮として活躍していると聞いています。

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東京オリンピックのベラ・チャスラフスカ


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東京オリンピックのベラ・チャスラフスカ


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ベラ・チャスラフスカの近影(71歳)



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もう一人はジャンヌ・モロー(1928-)

忘れがたいのは,「死刑台のエレベーター」(ルイ・マル監督作品,1958)

会社社長の夫を亡き者にするため,愛人と共謀して完全犯罪を企てるんだ。エレベーターを舞台とするサスペンスドラマ。「死刑台のエレベーター」と聞いただけで直ちに思い出すのが,マイルス・デービスの怖ろしくも心に染み込むトランペットの音色だよ。

映画としても傑作,映画音楽としても傑作。映画史に残る作品です。

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ジャンヌ・モローとマイルス・デービス


沢木耕太郎が,朝日新聞の夕刊にひと月一回掲載される「銀の街から」で,今年で85歳になるジャンヌ・モローが主演した「クロワッサンで朝食を」(イルマル・ラーグ監督作品,2013)を取り上げ,
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右側の婦人がジャンヌ・モロー


若さと老いについて,素晴らしい記事を書いています。

朝日新聞のディジタル会員(有料)になれば,記事自身も読めるよ。

ちなみに,昨日の夕刊に掲載された「銀の街から」では,宮崎駿監督の「風立ちぬ」について極めて厳しいコメントが述べられています。

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歳とともに,外見的な容貌に加えて,自らの全てが老いていくと落胆の日々を過ごす人もあれば,チャスラフスカやジャンヌ・モローのように,「うつりゆく 花の色」を心静かに受け入れている人もいるんじゃないかね。

これは,良いとか悪いとかの問題じゃなく,ひと個人個人の生きる哲学の問題ですよ。



未完

by yojiarata | 2013-09-28 20:43
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