今年も,若者たちが大学,さらに進んで大学院で学んだ知識を糧として社会に進出して行く4月を迎えた。 このブログでは,薬学の様々な分野を専攻した若者たちが,いま,何をどのように考えているかを,筆者との一問一答形式の対談にまとめ,掲載することにした。 今回は,国立大学法人・大学院で修士の称号を取得し,大手製薬企業の研究所で創薬の研究に参画している若手女性研究者に登場していただく。 以下,Q は筆者の質問,A はそれに対する応答である。 Q 薬学を自分の進むべき道に選んだのは,小学校,中学校,高等学校のどの段階ですか。 A 薬学を自分の進むべき道に選んだのは大学に進学してからですが,小学生の時から漠然と薬学に興味はありました。 Q 大学はどのような基準で選ばれたのでしょうか。 A 実家から通えることと,様々なことを学んで視野を広げられるかどうかです。 Q 入学して,どのような分野を専攻されたのですか。 A 入学してからは,薬学を中心に様々な分野を学びました。 Q それには,何か自分なりの根拠があったのでしょうか。 A 様々な分野に触れることで,本当に自分が薬学の道に進むべきかを確かめたいと思いました。 Q 大学院に進まれたとのことですが,専攻分野はあらかじめ決めておられたのでしょうか。 A 決めていませんでした。様々な研究室を見学し,研究内容の面白さと研究室の雰囲気で決めました。 Q 具体的には,どのような分野でしょうか。 A NMRやX線結晶解析により,タンパク質の構造の関連を解析することを目的とする分野です。 Q その分野を学んで,どのように感じられましたか。とくに,自分の将来と考えあわせて。 A 生命現象を基礎から解明する過程を体験し,研究の面白さと難しさを実感しました。また今後研究を続けていく上で基礎となる考え方や研究に対する姿勢を学ぶことが出来ました。 Q 修士の段階で,企業に就職しようというのは,どのような考えで決めたのでしょうか。さらに,博士課程へという可能性は,考えなかったのでしょうか。 A 新薬を開発することで世の中に貢献したいという考えから製薬会社への就職を希望しました。製薬会社の研究職に就職するためには修士卒の方が就職しやすいと感じたことや,早いうちに社会に出て世の中の役に立ちたいと思ったため博士課程には進学しませんでした。 Q 就職は簡単に決まりましたか。就職難という言葉を感じましたか。 A 私は運良く早い段階で内定を頂くことができましたが,多くの会社に書類審査で落とされたときには,就職難という言葉を感じました。 Q 就職先は,どのような基準で決めたのでしょうか。何社か,見学するなどされましたか。 A 会社の雰囲気と,自分のこれまでの経験が活かせるかどうかで決めました。面接を受けた数社は見学させて頂きました。 Q 入社してみて,どのように感じましたか。ここでこそ,仕事ががんばれると考えましたか。それとも ・・・ A 周りの方が優しくとても雰囲気が良いので,ここで仕事ががんばれると思いました。 Q 入社後,どのような過程を経て現在に至っていますか。 A 現在,入社して約1年が経ったところですが,先輩に教わりながら仕事を進め,自分でできる仕事を増やしている段階です。 Q 実際にはどのような仕事ですか。 A 医薬品を供給するために必要な精製プロセスの開発を行っています。 Q それは,自分が希望いたものでしたか。 A 新薬を世の中に送り出す手助けができるという点で,自分が希望していたものです。 Q 今後,どのように仕事をしていきたいと思っていますか。 A 周りの方々と協力しあいながら,個人としてではなくチームや会社全体として良い成果があげられるように仕事をしていきたいと思っています。 Q 自分自身のアイディアが生かせる自由度は気になりませんか。大学院の研究室とは,当然異なると思いますが。 A 特に気になりません。自分自身の判断で大きな方針を変えることはできませんが,細かい部分で自分自身のアイディアを生かすことができています。 Q すぐ前の質問に関連して,今後,どのようにして研究を進めたいと考えていますか。 A 一つ一つの結果や状況に対してなんとなく判断をするのではなく,自分の中で納得がいくまで考え抜くことを大事にしていきたいと思っています。 Q どのような人間になりたいですか。とくに女性の場合,将来の計画が,男性と異なる面もあると思いますが。 A 周りの方々から信頼され,目標とされるような人になりたいです。お子さんがいながらバリバリ働いている女性社員もいますので,普段の仕事をする上で男女の違いは考える必要はないと思っています。 Q 話題が変わりますが,薬学部 6年制 をどのように考えますか? 6年制 に進もうという考えは,全くなかったのでしょうか。今のままでは,薬剤師の資格を取得できませんが・・・・・ 薬剤師の資格が取得できないことに,未練はなかったのでしょうか? A もともと研究がやりたいと思っており,薬剤師の資格はオプションとしてとれればいいというくらいにしか思っておりませんでしたので,取得できないことにあまり未練はありません。 Q 実際に,6 年制に進んだ友人はおられますか。 A はい。 Q その方は,どのような部署で,どのような仕事をされていますか。 A 博士課程に進学して研究をしている人や,製薬会社に開発職として就職した人がおります。 Q 色々とうかがいましたが,これまでの経験を基にして,今後,薬学における研究,教育はどうあるべきか,お聞かせいただけませんか。 A 薬学部 6 年制 が導入されたことで,4 年制 に進んだ場合にはこれまでのように薬剤師免許が取得できず,工学部や理学部など他の理系学部との違いが不明瞭になったと思います。 実際,薬学部で行っている研究は,薬学に関係のないものも多く,同様の研究を他の学部で行っていることもあります。薬学部として研究を行うからには,もう少し薬に関係する分野に特化し,新薬の開発につながるような研究をしてもよいのではないかと思います。 Q ご指摘の点は,大変重要だと思います。薬学部の側でも配慮していただければよいですね。 薬学を学んでこれから社会に出ていく,より若い人に,何か助言があればお願いします。 A 自分はなぜ薬学の道を選んだのか,そして社会に出て何がしたいのかをよく考え,その実現のために頑張って頂きたいと思います。 Q お忙しい中,大変貴重なご意見をいただき,有難うございました。
by yojiarata
| 2013-04-21 20:13
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