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惜別 千石規子さん



昨年から今年にかけて,世界的な名声をもつ映画監督,歌舞伎界の大御所が次々に他界され,新聞,テレビで大きく報道された。

その陰に隠れるように,多くの愛すべき人物がひっそりとこの世を去った。千石規子(せんごくのりこ)さんもその中の一人である。とくに,三船敏郎のデビュー作 『酔いどれ天使』 (黒澤明監督作品,1947)の印象は鮮明である。結核に侵されながら,酒におぼれ,坂道を転がり落ちるように命を落とすやくざの松永(三船敏郎)。その松永の病気を気遣いつつ,心ならずも 酒場で酒を出すぎん(千石規子)。

誰からも見捨てられた松永の遺骨を引き取り,

”郷里(くに)に帰ってのあの人のお墓を作ってやるんだ。このままでは,あんまり可哀そうだもの。”

遺骨を抱いてポツポツと語るぎんの遠景のラストシーンが印象深い。

その後もいくつかの黒澤作品に登場,とくに,『野良犬』の拳銃密売組織の一員として出演,短時間ながら,存在感を示した。いい女優さんだった。


千石規子
2012年12月27日没
享年 90
by yojiarata | 2013-02-08 08:28
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