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内閣総理大臣 対 各党代表の ”論戦” を聴く



内閣が交替し,総理大臣の所信表明演説に対する各党党首の代表質問,それに答える総理大臣のやり取り( ”論戦” )がテレビで実況され,新聞にも大きく報じられた。

普通,論戦と言えば,質問を聴いた上で,その場で適切に回答をする,必要に応じてさらに追加質問するというのが筋である。『広辞苑』によると,「論戦」とは「互いに議論をたたかわすこと」とある。すなわち,論戦とは,ダイナミックで知的な言葉のやりとりなのだ。

ところが,我らが総理と各党党首の”論戦”には,それが全く感じられない。まるで,冷蔵庫に保存された烏賊のように,冷たく,動きも何もない。何故だろうか。どうにも腑に落ちない。

筆者は超後期高齢者になり,一日中家にいることが多いので,今回は,テレビで一部始終を注意深く観察することにした。

やり取りの順番をまとめると次のようになっている。

1) それぞれの党首が質問する。

   質問は印刷されているらしく,党首はそれを朗読する。

   質問が終わると,質問が印刷されている用紙を,演台のすぐ下にいる4人の人物(書記?)の一人に渡 して自分の席に戻る。

2) 総理大臣が,回答に立つ。

   総理大臣も,用意された用紙を棒読みにしている。
  
   時々ポーズとして,党首の方をちらっと見る。

回答が用意され,それを棒読みにする姿は,いかにも奇異である。


以上がワンセットで,次の党首が登壇し,同じことが繰り返される。

質問が予め印刷され,各党首はこれを読み,それを書記に提出するのには不思議な点はないといえばない。しかし,上で述べたように,これでは,質問がこれっきりで終わりになり,論戦にはなりえない。

もっと不思議なのは,総理大臣が,回答が印刷されていると推測される書類をただひたすら読んでいる点である。

こうなると,総理大臣は「質問」を予め入手し,それに対する回答を印刷して登壇,棒読みにするとしか考えられない。回答は,主に官僚の手になるものと想像される。余りにも素っ気なく,魂が入っていない,空疎な内容だからである。

情けないことに,総理の回答は,極論すれば,”ハイ” とか ”イイエ” 以上のものではない。質問する各党の代表が追加の質問をして,総理の真意を問いただせる仕組みになっていないから,これ以上の進展など,あるはずもない。

極論すれば,試験問題を予め入手したうえで,誰かに助けてもらって用意した解答を手元に用意して試験場に入るのと同じではないか。これが,”近代民主主義国家”日本の実情なのだろうか。だとすれば,こんな情けないことはない。この ”論戦” は,一国の政治の方針について,総理と各党党首が公の場で意見を交わす極めて重要な機会だからである。

例えば,アメリカでも,議会の論戦はこんな調子で進行するのだろうか。
by yojiarata | 2013-02-04 21:25
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