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MRI 第6話



2.11 MRI の技術の発展と貢献した学者


荒田

MRI の画像作成のための技術には,どれくらいの年月がかかったのでしょうか。

巨瀬

MRI がLauterbur により提唱されたのが1973年,最初に実用的なレベルの撮像方式が確立されたのが1980年(Edelsteinらによるspinwarp法),最初の臨床機が発売されたのが1980年代前半です。しかし,MRI の臨床機は,その後も飛躍的発展を遂げ,2010年 くらいの時点では,当初のMRI に比べ,静磁場強度は100 倍程度,勾配磁場強度も100 倍程度向上し,RF コイルを複数使ったり,スピンエコー数も,1 回の励起で10個 以上発生させるなどの手法が使われています。そして,最近でも,また新しい技術が発表されていますので,MRI の技術開発は,まだ終わった訳ではありません。

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左は,1982年,巨瀬が東芝にいたときに開発途上で撮像した頭部の断層像。右は,2008年,お茶の水のイメージングセンターの3T-MRIで撮像したほぼ同じ部位の断層像。
26年間の進歩がうかがわれる。


荒田

開発に当たって,抜きん出た業績を挙げた学者はどなたでしょうか。

巨瀬

やはり,ノーベル賞を受賞した Paul Lauterbur とPeter Mansfield だと思います。

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Paul Lauterbur


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Peter Mansfield


さらに,NMR とMRI のハードウェアに大きな影響を与えたDavid Hoult,General Electric 社の研究者であったPaul BottomleyとBill Edelstein は,現在のMRI のスタンダード(1.5 テスラのMRI)を確立する上で,非常に大きな役割を演じました。 同じくGE社のPeter Roemer は,多数の受信コイルを使用する,phased array coil を提案し,その後のMRI の発展の基礎を築きました。そして,この技術を基礎に,パラレルイメージングが発明され,撮像時間が数分の一になりましたが,それを提案したDaniel Sodickson とKlauss Pruessman も高い評価を受けています。

それと,忘れてはならないのが,1991年にノーベル化学賞を受賞したRichard Ernst です。彼の多次元NMR の手法は,MRI の分野でも主流となっており,多次元NMRの最初の実験例がMRI であると言われています。




つづく

by yojiarata | 2012-05-27 15:00
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