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誇大広告



広辞苑によると,誇大広告とは

商品の長所だけを実際より大げさに示した広告

とある。

ある大学病院の地下の食堂の一つで 昼食をとった。見本が並んでいるガラス張りの棚から一品を選んだ。デザートの見本があった。560円。大きなどんぶりのような容器に,メロン,オレンジ,などが盛り合されていた。果物好きの筆者は注文した。一人に分としてはチョッと大きい過ぎると思ったが,それは杞憂であった。

フルーツですと運ばれてきた実物を目にして,言葉を失った。小さな湯飲み茶碗のような容器に,フルーツが入っていた。確かに,面子は揃っていた。それぞれのフルーツのかけらは,1センチ四方,体積にして実物の2,3%程度だろうか。この食堂の見本を並べた棚は,究極の誇大広告である。

色々聞いてみると,新聞広告は,新聞の編集の管轄の外にあるようだ。

1994年,筆者が大学を定年になった後,機能水研究所 (農水省,つくば)で 6年間所長を務めた。今でもそうであるが,どんな水が身体に良いとか,我が社のこの水を飲むと長生きするなど,およそサイエンスといえない説が世間を騒がせていた。ある大新聞の巨大な広告が目に留まった。いつもと変わらないいい加減な記事のため,新聞社に直接連絡した。答えは,広告は新聞の編集部の管理の外にあるので,広告担当の部署を訪ねてくれとのことであった。

訪ねた先は,駒込の小さなオフィッスビルの2階だった。想像したとおり,広告はこちらの管轄で,いわば,新聞社の一部に間借りして独立に仕事をしているとのこと,アパートの間借り人が何をしようと新聞社の編集部はあずかり知らぬとのことであった。大新聞の広告がこうして作られていることを知り愕然とした。

このところ,新聞も景気が悪いとみえて,全ての大新聞に,連日,巨大な広告が掲載される。

我々高齢者を標的にしたものが多い。例えば,

首・肩に! 腰・背中に! 脚・ひざに!
つらいコリ,ハリに 貼るだけで効く!

目を凝らして見ると,小さな文字で書かれている次の一行が入っている。

あくまで個人の感想であり,効果効能を保証するものではありません

ひどいじゃありませんか。要するに,自分の巨大なアパートの一室を広告屋に貸し出し,極端に言えば,その部屋の中で大暴れしても,火事を出すとか,社会問題になるような事件を起さない限り,見てみぬふりをするというのである。

大新聞といえども,マスメディアの多様化もあって,経済的にピンチのようである。事情は理解できるものの,とくに高齢者を標的にした誇大広告は何とかならないものでしょうか。

厚生労働省も黙っているわけにはいかなくなって,少しずつ動き始めたようである。しかし,例の如く延々と書いてある退屈な法律の文章をよく読んでみると,印刷物に関するもので,大新聞などの”本丸”に手が伸びるのは何時のことかわからない。多分これ以上は無理なような気がする。

健康の保持増進効果等の虚偽・誇大広告等の表示の禁止(健康増進法第32条の2、3)関係

時代が変わる。時代とともに,「誇大広告」の定義に関する辞書の記述も変えなければならない時がきている。
by yojiarata | 2012-04-03 23:39
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