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ソースと宵待草



高校3年で生物を教わったのは,渾名でソースとよばれていた面白い先生だった。何故ソースかといえば,早口で喋りまくるため,「そうです」が,誰にも,どうしても「ソース」と聞こえてしまうからである。

当時の学校(少,中,高)では,先生が自信をもって,遠慮会釈なく生徒を罵倒するのが普通だった。しかし,おなかにウジウジしたものが溜まっているわけではないので,生徒の方もこれが普通だと,さして気にしていなかった。

ある時,花のことが話題になった。花の名前をソースに質問され,誰かが ” 宵待草 ” ですと答えた。ソースの顔色がたちまち変わった。

”馬鹿,間抜け!あれ(宵待草のこと)は 「パンパン」 じゃ!!わからんのか。馬鹿!!! うちに帰ってお父ちゃんかお母ちゃんに聞いてみろ!!!!”

答えた生徒も,ほかの生徒も,わけがわからず,ただ唖然とするのみ。

今にして思うと,ソースにしてみたら,あのナヨナヨした竹久夢二の絵や詩がどうにもがまんがならなかったのであろう。日頃の鬱憤が爆発したのだ。

それにしても,ソースは我らに絶大な人気のある先生だった。時間の合間に,さりげなく,当時の教科書の範囲外であった 「減数分裂」 について,実に簡潔に教えてくださった。

トコトコ,セカセカ 歩くソースの後姿は 何時までも我らの記憶に残っている。
by yojiarata | 2012-03-19 20:40
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