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ベントレーの見た雪



1865年,アメリカのバーモント州の小村ジェリコに生まれたベントレーは,理科の先生をしていた母親の顕微鏡を使って見た雪の結晶の美しさに感動し,なんとか写真を撮りたいと思うようになった。ベントレーが15歳の頃のことであるが,実際に雪の結晶の写真の撮影に成功したのは,ベントレーが20歳のときであった。ベントレーはそれ以来,毎年,雪の季節になると,厳寒の屋外で雪の結晶の写真を撮り続け,5381枚の写真を残して,66歳で肺炎のためこの世を去った。

ベントレーの志は,写真集『雪の結晶』(Snow Crystals)として,1931年に出版された。2453葉の雪の結晶が収められたこの写真集は,現在でも入手できる。


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The Snowflake Man: A Biography of Wilson A. Bentley


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Snow Crystals



ベントレーの写真集は,専門の学者からは,科学的な記載が不充分であるなど,さまざまな批判を受けた。雪の結晶のかたちが,どんな場合でも,写真集の大部分を占めるような平板状でないことも確かである。この点については,中谷宇吉郎博士の『雪』,さらには,同博士に関するウェッブ・ページに記述がある。しかし,この写真集を見るたびに,雪の結晶の美しさに魅せられて,一度噛み付いたら離れないスッポンのように,50年の歳月を厳寒の中で雪と共に過ごしたベントレーの志に頭が下がる思いをもつのは私だけではあるまい。これぞ,科学をするものの鏡だと思う。

アメリカの子供たちのために,偉人についての絵本が出版されている。日本でいえば,筆者の年代の子供が愛読した講談社の絵本の中の「二宮金次郎」と同じように,ベントレーが絵本になっている。ここに,絵本の表紙など何枚かの写真を紹介する。

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Snowflake Bentley



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ベントレーの写真集に魅せられて,雪を生涯の友とした科学者が少なくない。中谷博士もそのひとりであった。ひとの想像をはるかに超えた自然の美しさは,雪の研究者のみならず,例えばデザイナーなどを今日に至るも魅了しつづけている。ベントレーに興味をもたれた読者は,ベントレーの公式ウェブサイトをご覧ください。
by yojiarata | 2012-01-11 14:51
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