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水の変容 Ⅳ



タンパク質は生きている



カラカラに乾燥したクマムシが甦ることは,すでに詳しく述べた。特別の場合を除くと,タンパク質が生きて活動するためには,水の存在が必須である。次の図は,レビットが描いた模式図である。タンパク質分子のいたるところに,水分子が首を突っ込んでいる様子が描かれている。
水の変容 Ⅳ_a0181566_20504552.jpg

タンパク質の例としてトリプシンを取り上げ,X線結晶解析の結果(中迫雅由・教授提供)をもとに水分子がタンパク質分子とどのように相互作用しているのかを次の図に示す。
水の変容 Ⅳ_a0181566_2054574.jpg

図からわかるように,トリプシン分子の表面に水分子が張り付いている。
されに,下の図では,個々の部位で,水分子がどのような構造をとってトリプシンと相互作用しているかがわかる。
水の変容 Ⅳ_a0181566_15535077.jpg


98%近くが水で構成されているクラゲほどではないが,タンパク質は大量の水があって初めて機能するのである。タンパク質分子は水に浸かって,ある所は硬く,またあるところはブヨブヨで,機能を果たしている。形とダイナミックスこそがタンパク質分子をタンパク質分子たらしめている。

タンパク質は生きている。そして,タンパク質を支えて機能を発揮させる役割を担うのが水である。





つづく

by yojiarata | 2011-05-18 18:32
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