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薬学部6年制 Ⅱ


6年制薬学部の成り立ち

全国薬科系大学に関する統計データを示す。次のグラフ
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は,平成11(1999)年から平成21(2009)年の間の定員数及び薬科大学・薬学部数推移を示す。(日本薬剤師協会作成,提供)

次の二つの表
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は,平成22年(2010年)度 薬科大学(薬学部)入学定員及び入学者数(*2・3年次編入を除く)を,国公立大学,私立大学に分けて示したものである(全国薬科大学長・薬学部長会議提供)。

全ての国公立・市立大学の薬学部には,6年制課程4年制課程が用意されている。全国で57校ある私立薬科大学のうちで,6年制に加えて,4年制が設置されている大学が13校ある。それぞれの場合,4年制課程の定員が異なっている。

6年制課程と4年制課程の定員は,それぞれの大学で決める。例えば,北海道大学の場合には,6年制課程の定員が30名,4年制課程の定員が50名である。6年制課程と4年制課程の割り振りは,入学時に行われる場合(すなわち,入り口が別々の場合)と入学後行われる場合とがある。

6年制課程を選択した場合

最初の4年間は,薬学部の学生が身に付けるべき科目をまとめて学習する。5年次には,実務実習(2.5ヶ月の調剤薬局実習,2.5ヶ月の病院実習)を受ける。5年次の残りの半年,6年次の全期間は,自らが希望する研究室に配属されて研究を行う。

調剤薬局実習では,患者に直接接し,調剤された薬の説明などをおこなう。この場合,実習を受けられるのは,全国一律に,5/17~7/30;9/6~11/19:1/11~3/25(平成22年度の場合)の3回である。調剤薬局が受け入れる学生の上限は,1期間2名である。

以上の割り振りは, 一般社団法人・薬学教育協議会が行う。

残りの1年半余りは,大学のいずれかの研究室の配属となり,形式的には,修士課程の学生に相当する研究を経験する。ただし,薬学6年制では,修士の学位は取得できない。また,大学によっては,6年次のかなりの部分が国家試験を目的とした受験勉強に割かれているという。

このような訓練を経て,学生は大学との交流,研究に関する最新の情報に触れる機会を通じて,卒業後,就職先で貴重な人材となるための素地を身に付ける。[⇒ 『薬学教育6年制と長期実務実習について』

4年制課程を選択した場合

4年制課程は,薬学部が4年生であった頃の研究体制をそのまま維持し,薬学で創薬など研究をしたいと希望している学生のために設けられたものである。したがって,学生の多くは,4年の過程を終了して学士の称号を得た後,大学院を受験し,合格すれば,修士課程(2年),さらに希望するなら博士課程(3年)で研究を続ける。4年制課程の大学院で取得できる学位は,修士(薬科学),博士(薬科学)である。

4年制課程の学生にも,少なくとも現時点では,薬剤師免許を取得する道が閉ざされているわけではない。ただし,薬剤師国家試験を受験するためには,6年制の学生が,5年次で行った実務実習(2.5ヶ月の病院実習,2.5ヶ月の調剤薬局実習),卒業までの残りの期間で行う研究室実習を受けなければならない。

残された期間は,(2011年現在)6年しかない。平成16(2004)年,4年制課程の学生に深く係る 薬剤師法の改正が行われた。すなわち,薬剤師法の改訂が再び行われない限り,平成30年(2018年)以後は,4年制課程の学生が薬剤師の資格を取得する道は閉ざされる。

つづく

by yojiarata | 2011-05-07 00:50
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