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春を待つ



クマが冬眠することは誰もが知っている。クマには,冬になっても温度が下がらない場所を選んで生き延びる。両生類は,普通は寒冷地には生息しない。例えば,北海道で分布をとってみると,イモリなどは温度の下がる場所を避けて生息している。地下深く1メートルにもぐって越冬するヒキガエルが知られている。池や川の底で越冬するカエルやカメがいる。カメは,三ヶ月も四ヶ月も川の底で息をひそめて冬を耐え続け,春の到来を待っている。

18世紀に書かれたイギリス人の探検家ヒームの日記には,北米最北端に住むアメリカアカガエルが,凍って石ころのようになって越冬している様子が記録に残されている。このカエルは,上に述べた意味では,例外の属する。

北緯61° のこの地方には,さまざまの色をした多種類のカエルが生息している。冬にこの地方を訪れた私は,テントを張るとき,コケとともに,氷のようにカチカチに凍ったカエルを見かけることがよくある。チョッと触ると,細い足はポキンと折れてしまう。しかし,カエルを軟らかい布にそっと包んで,焚き火でゆっくりと暖めると息を吹き返す。
(筆者自身の翻訳による。)


低温を逃れて冬を越す単純な耐寒性に加えて,動物は,花芽の場合と基本的には同様な方法で,低温に抵抗している。すなわち,過冷却状態を保って生き延びる場合と凍ってしまって生き延びる場合がある。

過冷却状態を保つ場合には,細胞内の氷の成長を抑えるために,寒冷時には,さまざまな糖の濃度が極端に高まることが知られている。例えば,凍結に耐えるカエルの場合には,低温に晒されて,手足が凍りはじめると,肝臓のグリコーゲンが動員され,血中のグルコースのレベルは正常値の100倍以上に達する。このカエルの場合には,「異常事態」に対応する生化学的機構がはたらいているに違いない。

昆虫の耐寒性は,花芽で見た現象と類似している。すなわち,過冷却状態で冬を凌ぐ昆虫,逆にすぐに凍ってしまって冬を越す昆虫に分かれる。花芽の場合には,両方の方法がほぼ半分づつであるが,昆虫では過冷却状態で冬を過ごす場合が多いといわれている。
by yojiarata | 2011-05-02 20:12
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