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クマムシの謎

クマムシ (tardigrades)とよばれる容貌怪奇な動物が知られている。体長10-50ミクロン前後のこの動物は,18世紀に文献に初めて登場する。図を見ていただければ,
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この名称がつけられたいわれが理解できると思う。

実際に筆者がクマムシに関心をもったのはこの本に出会ったからである。
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活動している状態(水分 85%)

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クマムシが示す顕著な性質のひとつにアンハイドロバイオーシス(anhydrobiosis)とよばれている現象がある。水が抜けて長期間カラカラに干からびた状態に長時間(一ヶ月,半年,一年,・・・)おかれても,クマムシは水によって息を吹き返し,活動を再開する。ある博物館にこんな記録が残されているという。(未確認です)
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水を失った状態(水分3%以下)(上下とも)

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下の図のバーは20ミクロン。


・古いコケが見付かった。

・そのコケを含んだ土は130年前のものであり,そこに干からびたクマムシが転がっていた。

・パラパラと水を振り掛けると,しばらくしてから,ゴソゴソと動き出した。

・しかし,6時間後に絶命した。

干からびたクマムシの体内には,大量の糖類(トレハロース)が蓄積されていることが知られている。トレハロースが,クマムシの生命活動を支えるタンパク質などの立体構造が脱水によって破壊されるのを防いでいるのである。

アンハイドロバイオーシスの現象は,クマムシのほかにも,線虫類や輪虫類でも知られている。「クマムシを讃える会」など,世界中に熱烈なファンをもつクマムシについては

クマムシ1
クマムシ2

などもご覧ください。
by yojiarata | 2011-05-18 01:00
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