このブログでも書いたが,私は大学院博士課程の学生の頃から現在に至るまでの50年余り,核磁気共鳴(NMR)を友として研究生活を送ってきた。この間,数多くの素晴らしい友人に恵まれ,この上もなく幸せであった。
今日,その友人の一人から新しい本(2011年4月22日発行)が届いた。一気に読み通した後,大きな感動を味わった。

一言にしていえば,行間から執筆者の肉声が,熱気が,聴こえるのである。
NMRをテーマとして,これまでに数多くの著書が執筆されているが,このような著書にこれまでに出会ったことはない。
このような著書が出来上がったのは,編集を担当された朝倉哲郎博士(東京農工大学教授)のアイディアによるところが大である。その特長は以下の通りである。
1)40人の執筆者を選び,それぞれの執筆者に,印刷4ページで,自分が最も興味を持ち,研究を続けているテーマを簡潔にまとめる。
2)各項目の最後には,数行の[最後のひと言]が付けられる。
3)
合成高分子・先端材料,
生体分子,
医療・医薬,
分析・NMRの進歩の4部門に,それぞれ10名の執筆者が,割り当てられている。
多くの執筆者の作品を単に並べて印刷することは容易である。しかし,この本は違う。執筆者個人,個人の肉声が行間から伝わってくるのである。とくに,[最後のひと言]からは,研究者としての熱烈な思いが手に取るように伝わってくる。
仕事に熱中している内に,気が付いてみれば夜が明け,コーヒーを飲みながら,研究者を続けていてよかったとしみじみ思う[ひと言],新しい研究が成功し,その後,次のアイディアを夢中になって考えている内に,何日も眠れなない夜が続く経験を語る[ひと言]。
感動がつぎの研究を生む。
これまでに出会ったことのない類いまれな著書をもたらしたのは,編集を担当された朝倉博士のNMRに対する熱い思いである。朝倉博士,40人の執筆者の方々に心から敬意を表したい。