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映画・飢餓海峡 に見る 日本の美学



ご隠居さん 前回はかなり真剣な話題を取り上げられましたね。

仰る通りです。だけど,言っておきますけど,私はいつも真剣です。だからなまじめなことしか書きません。

分かっています。それで,今日の真剣な話題というのは?

ちょっと横道に逸れるけれど,私は毎日が日曜日の後期高齢者だから,いろんな自由度があるんだ。その一つがケーブル・テレビです。野球少年の私にとって,嬉しいテレビです。セ・パ両リーグの全ての試合が,試合終了まで楽しめるよ。おかげで,楽天のオコエがすっかり成長して,1番を打っている姿を見ることができたよ。


話を元に戻すと,ついこの間,このケーブル・テレビで,飢餓海峡(内田吐夢監督作品,1965)を久しぶりに観ることができたよ。

水上勉の原作の出版,映画化の時のごちゃごちゃした騒動で大変複雑な問題の末に上映されました。

だけど私のような映画少年にとっては,映画の素晴らしさがすべてです。


三國連太郎,左幸子,伴淳三郎 3人の演技が圧倒的だね。最初,プロデューサーは,左幸子の役に佐久間良子を考えていたらしいけど,内田監督の意見によって左幸子になったそうだよ。大正解だね。

ともあれ,下北半島の荒波を見事に再現したモノクロ画像,さらに,待っている恐ろしくも悲しく,ショッキングなラストシーン。

久しぶりに観たけど,やっぱり素晴らしい。

日本映画の最高の作品の一つとして,いつまでも記憶に残る作品です。

映画そのものの内容は,ウェッブでご覧ください。また,DVDも入手できます。


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ところで,最近,ヨーロッパのいろんな映画祭に,日本から我も我もと参加,上映されるんだけど,どうも旗色がよくないね。昔の黒澤作品の血を引く作品が今も作られていると誤解されているんじゃないかね。

要するに,日本の文化,哲学がどれだけ作品に込められているかじゃないだろうか。

余計なことかもしれないけれど,この考えは,ノーベル文学賞にも当てはまると思うよ。2017年のノーベル文学賞 (Kazuo Ishiguro, Never Let Me Go)について,選考委員会は,「偉大な感情の力をもつ小説で,我々の世界とのつながりの感覚が不確かなものでしかないという,底知れない淵を明らかにした」とコメントしています。因みに,Ishiguro さんは,5歳の時に両親とともにイギリスに移住した日系のイギリス人です。





おしまい

by yojiarata | 2017-10-05 23:31
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