ご隠居さん。物理的には,年が変わって2017年になったけど,何か特別の感慨がありますか。 超後期高齢者になると,そのようなものはないね。 君にそう言われてふと頭に浮かんだのは,国民学校(今の小学校)の頃,何処かで,誰かに(もしかしたら母親に?)聞いた小林一茶の「正月は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」の句くらいのものだね。もっとも,この句にもいろいろバージョンがあって,何だかよくわからないようだけど。 ブログはどんな方針で進む計画ですか。 方針なんて,時間と共に,コロコロ変わるからね。ただ,今言えることは,これまでとは変えたいと思っています。 どういうこと? 少なくとも,去年の大晦日に書いたことを,そのまま続けるのは,止めようと思っているんだ。 何故かって? 何も変わらないことは確実だから。 例えば,1月5日 夕刊には,第一面に次の記事がデカデカと載っているよ。 米軍 空中給油あす再開 オスプレイ 日本政府,容認 沖縄側は反発 2017年1月5日16時30分 沖縄県名護市沿岸で大破事故を起こした米軍輸送機オスプレイをめぐり,防衛省は5日午前,在日米軍が事故原因となった空中給油訓練を6日に再開すると発表した。米側の再開通告に対し,日本政府は「安全に空中給油を再開する準備は整ったと考えられる」(同省)として容認した。 新聞もダラシナイね。個性のある意見を,国民のためにズバリと書く気概はないのかね。 ___________________________________________ というわけで,今年のブログは,お汁粉談義から始めるよ。 ご隠居さんは,超高齢になっても,「お八つ」無しには元気が出ないそうだけど,ベスト3を挙げるとどうなりますか。 順不同で,大福,アンパン,お汁粉だね。 まず,2013年4月16日に書いたブログ 神田淡路町あたり 蕎麦とお汁粉 を読んで下さい。 それから,温顔の大平正芳・宰相は アンパン と 大福 がお好き も忘れないで下さい。(2015年3月15日執筆) 続いて,永井荷風。お汁粉のことを考えると,必ず頭に浮かぶのはこの方です。真面目にオカシイことを書くのがオカシイんだ。マ 読んでみてよ。 ただし,どこもかしこも焼け野原,お米も砂糖も,何もかも無かった昭和21年に書かれたことを忘れないで読んで下さい。 人 と 言葉 永井荷風:断腸亭日乗 を読む 巻の十二 次に,このブログの一部を抜き書きするよ。 昭和21年 三月初二。 陰。 旧紙幣通用 本日限り。銀行郵便局前群集列をなすこと二,三丁なり。 駅前の露店雑貨を売るものばかり,飲食店は一軒もなし。肴屋八百屋 さかなややおや も跡を断ちたり。 汁粉売るもの一軒 目にとまりたれば一椀を喫して帰るに,五叟 ごそう の家人 かじん あたかも新聞を前に 汁粉にて死したるもの あり。甘味に毒物を用ひしがためなりと語り合へるところなり。 余覚えず戦慄す。惜しからぬ命もいざとなれば 惜しくなるも可笑し。 三月初四。 陰. 汁粉の毒 に当りはせぬかと一昨日より心配しゐたりしが今に至るも別条なきが如し。 但し数日前より面部の浮腫去らず。身体何となく疲労す。 荷風は,殆ど 「お汁粉中毒」 といってよい状態でした。一時は,寒さの厳しい日を除いて殆ど毎日食したことが日記に書かれています。 例えば,昭和九(1934)年正月 の断腸亭日乗。 【正月二十日 ・・・ 諸氏と共に仲通の汁粉屋柳家に立寄りてかへる。】 【正月廿一日 ・・・ 柳家にて汁粉を食してかへる。両三日寒気稍寛なり。】 【正月廿二日 ・・・ 風吹き出でゝ寒気日中の寛なるに似ず遽に厳しくなりぬ。いつもより早く家に帰り。沐浴して寝に就く。】 【正月廿三日 ・・・ 燈刻銀座に食しキユウペルに憩い夜半柳家に汁粉を食して帰る。】 【正月廿四日 ・・・ 柳家にて諸氏と共に汁粉を食してかへる。】 【正月廿五日 ・・・ 風なけれど寒気甚だしければ銀座通も今宵は人出少し。黒パンを購い直に家に帰る。】 【正月廿六日 ・・・ 柳家にて汁粉を食してかへる。】 【正月廿七日 ・・・ 帰途諸子と共に今夜も柳家に立ち寄り汁粉を食す。寒月夜毎に明なり。】 お汁粉は更に続く。 荷風がお汁粉を賞味するのは,さんざん飲んだり,食べたりの後の帰宅前の深夜近く,それも殆んど毎日。何しろ,この方は,やることが徹底しています。植木等じゃないけど,” ♪ これじゃ,腹痛が持病の身体に,良いわけないよ ” だね。 日記には,腹痛のため,七転八倒,” 円タク ” で掛かりつけの医者宅に急行したことが何度も書かれています。” ♪ 分かっちゃいるけど止められない ” んだよ。
by yojiarata
| 2017-01-10 00:35
|
外部リンク
最新の記事
メモ帳
荒田洋治 昭和一桁最終便 覚え書 (アドア出版, 1995,絶版) 荒田洋治 昭和平成春夏秋冬 改訂・Web 版 (2016) 左クリックして ください。 これまでにこのブログに掲載した記事は,以下の通り,年度,月別に掲載されています。 以前の記事
2018年 09月 2018年 07月 2018年 05月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 02月 検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||