ご隠居さん。 しばらくお姿をお見かけしませんでしたね。熱中症で病院に担ぎ込まれたのかと心配していました。 水を飲みすぎて,お腹が膨らんで不愉快だったけれど,なんとか,生き延びています。 ところで,今日はTPPなんて,複雑怪奇なことに挑戦するのですか。何故TPPで,何故新薬なんですか。 最近の新聞には,TPPのことが毎日のように話題になっているよね。 たとえば,7月25日の記事 【環太平洋経済連携協定(TPP)の参加12カ国による首席交渉官会合が7月24日(米国時間),米ハワイ州のマウイ島で始まった。4日間の日程で難航する分野を中心に話し合い,28~31日の閣僚会合での全体合意をめざして,詰めの協議を進める。 実務者同士で話し合う首席会合では,知的財産権の保護や国有企業の優遇措置などが主なテーマ。知財分野では,新薬のデータの保護期間をめぐり,新薬メーカーを抱えなるべく長くしたい米国と,安価な後発薬の利用が多く,期間を短くしたいオーストラリアや新興国などとの対立が続く。 また,今秋に総選挙を控えるカナダが,乳製品や鶏肉の市場開放で態度を硬化させ,他国との交渉に与える影響が懸念されている。 主要国である日米の協議では,日本が輸入するコメ の扱いが焦点だ。日本側は関税をゼロか低くする新たな優先輸入枠をつくることを検討しているが,両国の主張には隔たりが残る。】 今朝 (8月2日)の新聞には, 【TPP,月内にも再会合 合意見送り 新薬・乳製品で溝】 とあります。 アメリカでは,薬価を決める連中が,ひどく権力を持っていると聞いています。薬価とTPPの関連の問題は,知らない人があまりに多すぎます。そして,知らないで済ますには,事は余りにも重大すぎます。 日本ではどうなのかを含めて,出来るだけ大勢の先輩,友人に話を聞いてみました。 その結果を私なりに編集して,以下に収載います。 今回のTPP交渉は医薬品の特許で保護される期間の交渉が問題になっているのだと新聞記事から判断されます。 特許解禁期間が短くなれば価格の安いジェネリック品がでまわり新薬創出国のアメリカは損をすることになり,オーストラリアと新興国は得をすることになるからです。しかし,今回のTPP交渉ではアメリカと他の国との薬価差は議論対象になっていないと私は推測しています。 現実的には別の意味で日本の厚労省は超高薬価のアメリカ製の薬の日本での発売をすぐには認めない態度を最近はとっています(日本流のpending)。 理由は単純でこれらを科学的根拠に基ずいて許可すると日本の医療費がパンクして日本の健康保険制度が崩壊するからです。以上の理由で今回のTPP交渉とアメリカの超高価薬(スカイロケット薬)は全く別項目として取り扱うべきと思います。 アメリカでは,億万長者,アメリカの中流以上でかなり高額の民間健康保険に入っている人しか使用できません。「1年の延命で1500万円?」の表現を目にします。制がん剤に限定した表現で,ご存じのように,がんは早期発見手術以外は薬での効果は 20-30 % ぐらいしか期待できないからです。それも中期以降のがんでは薬での完治はむずかしいにもかかわらずこれだけの高額の費用がかかるからです。 日本での薬価は製薬会社が開発にかかった費用と希望するもうけの費用の合計を申請しこれがあまりにも高額の場合は差し戻しとなり協議・交渉となります。アメリカでは製薬企業が申請する費用がそのまま認められることが多いので,スカイロケットとなる訳です。アメリカの自由主義は民間会社の製品の値段に政府が介入することは許されません。値段が高すぎれば売れないだけと判断されます。 現在のところ,新薬の開発では,アメリカが独走態勢にありますからね。 今後は,大金持ちがお金で命を買う事態と,お金がなく,死ぬとわかって,死を待つ事態に分かれていくのかもしれません。 アメリカでの薬価が日本での常識では考えられないくらい高額です。 いずれにしても年間コストはスカイロケットそのもので米国での民間保険に入っていなければ支払不可能と思います。私も米国でのオバマケアとか民間の健康保険制度をもう少し勉強しなければならないと思っています。 この記事の執筆に当たっては,平岡哲夫博士の資料など,提供いただきました。記して感謝の意を表します。
by yojiarata
| 2015-08-04 18:11
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