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三遊亭圓朝 と 五代目古今亭志ん生



ご隠居さん 久しぶりに志ん生さんの登場だね。

***


そういえば,そうだね。

切っ掛けは,国立演芸場で開催された「圓朝に挑む!」 について,” 落語評論家 ” (?) が書かれた記事(4月3日の朝日新聞・夕刊,3面)の記事です。


【評】 国立演芸場 「円朝に挑む!」

圓朝作品 は聴く側にとっても手ごわい。 ・・・・・ 登場人物も非常に多い。人間関係を頭のなかで整理するだけで一苦労だ。

・・・・・ 橘家円太郎の「粟田口霑笛竹(あわたぐちしめすふえたけ)」が良かった。 ・・・・・ 善人が次々にあっけなく殺され,舞台がどんどん変わる。



評者の仰ることに,異存があるわけではないんだけど,誰が,どのような考えで,この企画 「円朝に挑む!」 を立てたかを知りたいね。

もう少し言えば,この記事だけを読むと,圓朝さんの人と言葉が正しく伝わらないのではないかと危惧するんだ。

この記事を書かれた方が,圓朝作品をどれくらい読み込んでおられるのか,五代目古今亭志ん生さん,六代目三遊亭圓生さんの録音を一度でも聴かれたことがあるんだろうかなど気になることが少なくないね。


永年にわたって,三遊亭圓朝全集に目を通し,五代目古今亭志ん生さんが遺した数々の圓朝作品のCDを繰り返し聴いてきた私としては,” ア そうですか” というのが率直な感想だね。


*



圓朝作品を読むだけなのか,それを基にして作られた噺を聴くのかによって,事態は全く異なるよ。


1) 圓朝全集は,これまでに,春陽堂,角川書店,それに 岩波書店(刊行中)から刊行されているよ。私の書棚には,春陽堂版(全12冊,1926-1928),角川書店版(全7冊,別冊1巻,1975-1976)が揃っているけど,告白すれば,実際に通読したことはありません。


複雑で錯綜している圓朝の噺に挑戦し,実に明快で面白い噺に仕上げたのは,五代目古今亭志ん生さんなんだ。

『鶴殺疾刄 (つるころしねたばの) 庖丁 (ほうちょう)

を取り上げてみるよ。

三遊亭圓朝 と 五代目古今亭志ん生_a0181566_8305254.jpg



率直にいって,160ページの及ぶこの一大長編は,百年以上も前の作品であるせいもあり,読むのが一苦労だよ。冒頭の1ページ。斜めに目を通してちょうだい。どう?この文章がスーと頭に入ってくるかい。


三遊亭圓朝 と 五代目古今亭志ん生_a0181566_8321995.jpg



その圓朝全集(春陽堂版)を,枕元に置いて,擦り切れるほど徹底的に読んだ人を,一人だけ知っているよ。五代目古今亭志ん生さんです。文末に記載したウェブ・サイト 「五代目古今亭志ん生 語りの芸術 Ⅱ」に,長女の美濃部美津子さんの ” 証言 ” を載せておいたから読んで下さい。


私が心底感心するのは,それを簡潔にまとめ,山と谷でメリハリをつけ,自らのものにしたのは志ん生さんの力量です。その結果として出来上がった 「御家安とその妹(上,下)」 を聴いてみてよ。見事と言うほかないね。他にも,数々の圓朝作品をCDに遺してくれた五代目古今亭志ん生に大感謝だね。私は,志ん生さんは,”人間国宝 ” に相当する噺家といっていいと思うよ。


詳しいことを知りたい場合には,文末のウェブ・サイト 全部に,目を通してほしいね。


2) 圓朝噺は,演じる噺家の実力が問われるよ。現在,入手できる本格的な圓朝噺は,ほかには,六代目三遊亭圓生さんのCDだけだね。私のCDの棚には,先代・林家正蔵さんの「真景累ケ淵」が入っています。別の噺家による単発的にCD化されたものがあるかもしれないよ。この記事に出てくる橘家円太郎さんの噺がCD化されているかどうかも知りません。


私が,年甲斐もなく,こんなにこだわっているわけは,これまでに私が書いたブログ記事を読んでもらえばわかるよ。

幾つかのサイトにリンクが張ってあるので,それを辿れば,私のコメントが,あながち見当違いでないことを理解してもらえるはずだよ。




三遊亭圓朝と牡丹燈籠  2012 04 11

第11代目金原亭馬生  2012 10 10

五代目古今亭志ん生 語りの芸術 Ⅰ,Ⅱ  2011 06 16 






おしまい

by yojiarata | 2014-04-07 12:59
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