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バッハ 無伴奏バイオリンソナタとパルティータ



ご隠居さん。今回は,やけに真面目そうだね。で,急にどうしたの?バッハだなんて。

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音痴で,楽譜も読めない,音楽の完璧な素人が,バッハ 「無伴奏バイオリンソナタとパルティータ」 なんて ”神様の曲” を語る資格などないんだけどね。だけど,私には私で,言いたいことがあるんだ。

以前,諏訪根自子のことを書いたんだけど,覚えているかい。

その諏訪根自子が,1960年頃突如,隠遁生活に入り,世の中から姿を消したんだ。ところが,それから20年近くたった1980年前後になって,レコードを発表し,” 奇跡の復活 ” と大げさにいう人まででたよ。その時の録音に,この曲が入っていたそうだ。といっても,自分で確かめたわけじゃないよ。少女時代(13-15歳)の録音は,SP盤全13枚から丁寧に復刻され,CDが入手可能だけど,「神様の曲」の方は,発売されていません。

私の記憶によると,彼女は,眼前に高く聳えたつこの曲こそ,演奏家として目指すべき霊峰であると言っていたそうだよ。しばらく前にNHKのラジオ深夜便で聴いた「伝説のバイオリニスト 諏訪根自子」の後半で,この曲のごく一部が放送されたのを聴きました。余りにも短すぎて,良いとも,悪いとも言えなかったけどね。


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先月引越ししたんだけど,その時に,昔,買った安物のレコードプレーヤーが出てきたので持ってきました。その時,この「神様の曲」のレコード(クリスチアン・フェラス),CD版(ヤッシャ・ハイフェッツ)も荷物に入れたんだ。

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フェラス(1933-1982) LP レコード 3枚,1977年録音(Sine Qua Non Suprabra,1978)


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ハイフェッツ(1900-1987) CD 2枚,1952年録音(BMG CLASSICS, 1988)


レコードとCDに添付された説明を読んで,色んなことを知ったよ。

まず,フェラスはフランス生まれの才能豊かなバイオリニスト。カラヤンに見いだされて時代の寵児になったんだけど,病的な飲酒癖のためもあり,鬱状態になり,公的な活動からは身を退くんだ。その後,復帰を果たしたんだけれど,1982年8月25日に演奏会を行った3週間後の9月14日に自殺したと記録にあるよ。

演奏家というのは,人には言えないストレスがあるのかも知れないね。何時もギリギリのところで勝負しているんだろうね。可哀相だね。何となく,藤圭子を思い出してしまったよ。


次に,ハイフェッツ。ロシア生まれ。母親が彼の生年月日を一年早めたというんだけれど,どうしてかね?1899年生まれというのが縁起が悪いとでも思ったんだろうか。1925年にアメリカ市民権を得たそうです。

私は,大学生の頃,学生のための安い席で,ハイフェッツの無伴奏パルティータの中の13分に近い大曲 「シャコンヌ」 を,たしか,神田の共立講堂で聴き,いたく感銘を受けたんだ。50年近くも前のことだけど。

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それで,恐る恐る,二人が演奏する「神様の曲」を聴いてみたんだ。超後期高齢者の私には,無限の時間があり,そうゆう楽しみがあるんだ。

私の印象は,一言でいえば,バイオリンの音色の美しい曲だね。だけと,何度も聴くには忍耐が必要です。私の耳には,同じフレーズの繰り返しのように聴こえるから。素人の私がこんなことを言うと,神様を冒涜することになるんだろうけど,忍耐は忍耐ですよ。音楽の専門家は,精緻に並んだ楽譜に神を感じるんだろうね。

ただ,パルティータ第2番の最後の曲 「シャコンヌ」 だけは別です。素人が,気持ちのバックグランドとして聴くには,ぴったりです。ぼんやり聴いていると実に素晴らしいよ。



おわり

by yojiarata | 2013-09-30 00:18
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