荒田 巨瀬さんは,移動可能なMRI 装置の開発にも力を入れておられると理解していますが,どのような場面に応用できるのでしょうか。脳梗塞などの緊急医療にも利用できる可能性がありますか。 巨瀬 屋外における植物計測(果実や樹木)が,今のところ一番有効だと思っています。一方,脳梗塞をMRI などで,発症後数時間以内に早期診断できれば,血栓溶解術により治癒できる可能性がありますが,このために使用する患者さんのところまで運べるMRI は,必ずしも必要ではありません。というのは,重い磁石を運ぶよりも,患者さんを運んだ方が,遙かに速いことと,脳梗塞の確定診断には,エコープラナー法という超高速撮像法と,拡散強調イメージング手法が必要であり,小型で移動型の装置で実現するのは難しいからです。 荒田 スポーツ医学への応用なども可能なような気がするのですが,いかがですか。 巨瀬 トップアスリートをどのように強化していくかというテーマなどには使いにくいかも知れませんが,スポーツに伴う障害の早期発見などには,役に立つと思います。すなわち,野球の投手などは,痛くなってからではなく,普段から,肘や肩のMRI 検査は,定期的にやっておくべきだと思います。放射線被曝もありませんし,検査コストも決して高くないので,プロ野球の投手は,日頃から,健康管理の一環として,そのような検査を受けておくといいと思います。一流投手が,肘や肩を痛めると,1年で10億円くらいの年俸が,全く無駄になってしまいますので,もっとこまめにMRI を撮像しておけばいいのに,と思ったりします。 一流の競走馬が,しばしば屈腱炎という病気で引退し,競馬界の大きな損失になるので,それを予防するために,競走馬用のMRI を開発して欲しいという依頼もありました。さまざまな理由で実現はしませんでしたが,海外では,馬の脚用の専用のMRIが販売されており,既に50台以上売られたと聞いています。
by yojiarata
| 2012-05-27 14:00
|
外部リンク
最新の記事
メモ帳
荒田洋治 昭和一桁最終便 覚え書 (アドア出版, 1995,絶版) 荒田洋治 昭和平成春夏秋冬 改訂・Web 版 (2016) 左クリックして ください。 これまでにこのブログに掲載した記事は,以下の通り,年度,月別に掲載されています。 以前の記事
2018年 09月 2018年 07月 2018年 05月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 02月 検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||