MRI 第3話


2.4 MRI に用いられる磁石
超伝導磁石と永久磁石



荒田

MRI の撮像に入る前,検査技師さんから,磁石にひきつけられる金属,クレジットカードなどを身体から離すように指示されます。これは,磁場の影響を避けるためだと思いますが,MRI の場合に用いられる磁石は,どれくらい強力なものですか。磁石は,最近では超伝導磁石になったようですが,何故ですか。

巨瀬

臨床診断に使われている磁石の磁場強度は,0.2 テスラから3テスラです。1テスラは10,000ガウスで,地球磁場が0.5 ガウス程度ですから,地球の磁場の4千倍から6万倍の強さの磁場が使われていることになります。

研究用には,最高9.4 テスラのものが使われており,7テスラの人体用 MRI も,世界では50台 くらい使われています。11.7 テスラの磁場を使った人体頭部用MRI が,近々発表される予定で,14 テスラの頭部用MRI も開発が検討されています。こんなに強い磁場は,まだ誰も経験していませんから,被験者に最初になる人の安全性が心配ですが ....

磁場強度が0.2~0.4 テスラのMRI では,永久磁石が,0.5テスラ以上のMRI には,超伝導磁石が使われます。現在,臨床用MRIでは,超伝導磁石の磁場強度としては,1 テスラ,1.5 テスラ,3 テスラ の3種類が使われています。

超伝導磁石が広く使われているのは,強い静磁場が得られる(NMR 信号とノイズとの比は,生体では静磁場に比例します)ため,良好な画像が比較的短時間で得られるからです。


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超伝導磁石を用いた東芝製のMRI (静磁場強度3テスラ)



一方,永久磁石は,開放的な磁石が作りやすく,導入コストや維持コストも,超伝導磁石に比べて低いため,中小の病院や,手術するための用途としては,広く使われています。ただし,希土類元素を使っているため,資源の点が問題になっています。
 

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永久磁石を用いた日立メディコ製のMRI (静磁場強度0.4 テスラ)


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国立環境研に設置されている静磁場強度4.7テスラのMRI (旧 Varian)。医療用には認可されていない。立っているのは,国立環境研(当時)三森文行博士。






つづく

by yojiarata | 2012-05-27 16:30 | Comments(0)
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